2025年5月17日
小さな住まいが人生を豊かにする
小さく、豊かに暮らす。──資材高騰時代に考える、これからの住まいのかたち
資材価格の高騰、トランプ前大統領の再登場に伴う国際経済の不確実性、円安、エネルギー価格の上昇、さらには国内での米不足など、私たちの暮らしを取り巻く環境は目まぐるしく変化し、物価の上昇はあらゆる分野に及んでいます。住宅業界も例外ではなく、家を持つこと自体が今や“贅沢”とすら思える時代に入ったとも言えます。
実際に、金融機関においても住宅ローンの借入金額は土地・建物を合わせて4,000万円を超えるケースが主流となり、返済期間も40年を超える例が増加しています。30歳でローンを組み、完済は70歳。これは現役世代を終えてもなお返済が続くことを意味し、定年後の年金生活でその負担に耐えられるのかという疑問が当然のように生じます。
こうした背景のもと、近年注目され始めているのが60歳以上を対象としたリバースモーゲージ型住宅ローン「リ・バース60」です。これは、住宅金融支援機構と提携した金融機関が提供する商品で、自宅を担保に融資を受けることができる仕組みです。特徴としては、60歳以上の方が新築やリフォームに使う資金を借り入れ、生前は利息のみを支払い、元本は死亡後に自宅を売却して精算するという返済方式。特にノンリコース型では、担保不動産の売却額が借入額に満たない場合でも、相続人にその差額の返済義務がないという点で安心感があります。
しかし、そもそも論として「高額な借金をしてまで家を建てるべきか?」という問いが、今こそ強く問われるべきです。
私たちは日々、家を建てるという仕事に携わりながらも、この時代に住宅取得がこれほどまでに困難であることに対して強い危機感を抱いています。資材高騰の波は止まらず、住宅を“ローコスト”に抑えるために必要以上に品質を削り、住まいとしての本質を犠牲にしてしまう例も少なくありません。しかし、「ローコスト」であることと「低品質」は決して同義ではありません。
住宅とは単なる「モノ」ではなく、人生そのものの土台であり、生き方を象徴する空間です。家族が安心して暮らし、子どもを育て、老後の人生を穏やかに送るための「舞台」であるべきです。家を妥協して建てるということは、言い換えれば、自分の人生を妥協して設計してしまうことと同義だと私たちは考えます。
そんな中、私たちは「小さい家」や「断捨離」という概念に光を見出しています。
小さい家の思想──豊かさの再定義
小さな住まいには、驚くほど多くのメリットがあります。第一に、建築コストを抑えることができるという現実的な利点があります。そしてそれ以上に、「必要最小限」という考え方が私たちの暮らしそのものを見直すきっかけを与えてくれます。
物にあふれた暮らしは、心の豊かさに必ずしも直結しません。むしろ、「持たない」ことによって生まれる余白、自由、そして時間こそが、現代人にとっての真の贅沢と言えるのではないでしょうか。そうした考えの中から、私たちは「断捨離的な住まい」を提唱しています。
この断捨離的住まいとは、単に“狭い”ことを意味するのではなく、“無駄を省き、必要なものに絞った”暮らしの器をつくること。選び抜かれた空間、モノ、機能で構成される家は、生活動線もシンプルで心地よく、掃除や維持管理も最小限で済みます。
また、小さい家は土地の選択肢を広げます。都市部や地方の中心地、景観の良い高台など、狭小地でも快適な住まいが可能になることで、立地の自由度が増します。これは通勤や通学、子育て環境をより自分らしく選べることにも繋がります。
家づくりは「文化づくり」──YOROKOBiと縁側家族の挑戦
私たちはこうした思想をもとに、「YOROKOBi」ブランドを立ち上げました。YOROKOBiは、小さくても上質で、人生を豊かにする住まいの形を追求しています。「縁側家族」というコンセプトもまた、住まいを単なる個人資産ととらえるのではなく、人と人、世代と世代をつなぐ“文化”としての側面を大切にすることを目的としています。
YOROKOBiのモデルでは、必要最小限のサイズに、最大限の知恵と工夫を詰め込んでいます。例えば、1〜2人暮らしに適した「LOFT HOUSE(SCOPE)」、6畳単位で自由に組み合わせることができる「TINY HOUSE(PiECE)」、そして4人家族でも快適に暮らせる「FLAT HOUSE(LOVE LIVING HOUSE)」など、多様なライフスタイルに応じた展開をしています。
これらはすべて、「価格を抑えるためだけ」の規格住宅ではなく、未来の住文化を提案する“思想を持った家”です。高断熱・高耐久といった機能性はもちろん、住む人の心を満たすデザイン性や使い勝手も犠牲にせずに実現しています。
人生にふさわしい住まいを、自分らしく手に入れるために
この時代、住まいを持つという行為そのものに“覚悟”が求められています。借入額を抑えつつも、人生を楽しみ、家族を大切にし、老後の安心も確保できる──そんな住まいの在り方こそが、今最も求められているのではないでしょうか。
大きさではなく、在り方を問う家づくり。「小さいからこそ、深く豊かに生きられる家」。その理念を私たちはこれからも追求し続けます。家づくりとは、単なる建築行為ではなく、人生の設計であり、文化の創造なのです。
実は、中之条に「2025.平屋日和モデルハウス」をオープンします。
縁側家族ブランドは、次のステージに進みます。
コンパクトな24坪の平屋日和です。
よりシンプルに・・・
より暮らしやすく・・・
より妥協せずに・・・
アンチ妥協・・・
高みを目指して・・・
宜しかったらご見学に。