2018年6月28日
流行の屋根形状の危険!
⑼屋根形状:「シンプル•イズ•ベスト」
最近、片流れの屋根が増えてきています。
大きなサイズのソーラーパネルを設置するために増えてきた屋根形状ですね。
デザイン的にも片流れの屋根形状が好きだと答える方も男性を中心に多くなってきています。
しかし、屋根形状の基礎的知識を持って判断しないと家の寿命を短くする事につながりますので、屋根形状についての情報を掲載してみたいと思います。
日本の古民家の屋根形状を思い浮かべてみてください。
どこの地域に行っても片流れの屋根形状の民家を見ることはないと思います。
なぜなんでしょうか?
昔の人はデザインセンスが豊かではなかったのでしょうか?
残念ながら決定的な理由があったからだと私は思っています。
図をご覧ください。見ただけで大体のことはご理解いただけると思います。
雨は上から下に流れるという原理原則を意味しています。
片流れの屋根は、屋根から破風から雨が下に流れます。
たとえば、雨は屋根から破風から樋に流れ込ませます。
しかし、片流れの屋根は樋もありませんし、屋根から破風から軒天に伝わり壁の中に流れ込むような形状になります。
つまり、雨が壁に侵入するような仕組みになってしまうのです。
コスト的には片面の樋がない分コストダウンになります。
屋根の棟もありませんし、棟用の屋根材も必要ないのでコストダウンになります。
しかし、その反面雨に対するリスクが発生します。
軒天と壁との雨処理をしっかり計画して対応しておかないと怖い結果になります。
ではどうすればいいのでしょう。
工夫を凝らすことで対応できます。
北面に軒天を設けず、破風から直接壁に流れるようにしておけば良いのです。
私見ですが、しっかりと雨対策としての具体的な計画と施工方法を事前に考えておけば片流れの屋根形状でも安心してデザインすることが可能です。
①ではなく②の形状にすることが片流れ屋根として安心ですね。
さて、屋根形状といえば③や④も存在します。
④は、日本家屋の原点のような切妻という屋根形状です。
一番シンプルで馴染みのある形状ですね。
実は、雨対策だけでなく間取りを考えたときに一番汎用性が高く安心といえる屋根形状です。
普通すぎて面白くないという考えの方もいるでしょう。
実は、敷地や道路の位置によって一番ベストな玄関位置というのがあると思います。
④の屋根形状はどの位置の玄関にも対応できます。
しかし③の屋根形状は北玄関を計画できません。
理由は、屋根勾配が急すぎて玄関屋根を伸ばすことができないのです。
このままの急勾配で玄関屋根を伸ばしていくと、かなり低い位置に屋根が来てしまうのです。
まさか、屋根の下をくぐる玄関は考えられません。
では、2段階勾配にして、玄関部分の屋根はゆるい勾配にする方法もあるでしょう。
はたしてデザイン性はどうなりますか?
勾配を変えた部分に線が入り、その部分が弱点となるので結果として雨漏りの原因となる箇所を作るような設計になってしまいます。
雨漏りする家を作らない設計や施工方法を考えたときに、ベストは④ですね。
片流れだったら②を選択してほしいと思います。
①を選択する場合は、軒天と壁際の処理をしっかりするよう計画しましょう。