2018年6月27日
品質から考える家づくり
⑻最初に考えイメージすること
「本質的な品質」
一般的に多くの方々が家づくりで検討されるポイントとしては、「価格」「構造」「断熱性」が上げられるでしょう。
確かに重要な要素ではありますが、その前に想像したり考えてみたりしてほしい重要なことがあります。
<本質的な品質とは>
本物素材だけが持つ「味わい」という最も重要な品質の存在を忘れないでほしいと思います。
時間の経過とともに美しさが増す「感性品質」は、本物素材だけです。
“古民家CAFÉ”や“古民家蕎麦屋”に身を置いた時に感じる何とも言えない心地よさの源泉がどこにあるのか?空想してほしいと思います。
たとえば、自然素材だけが持つ「ぬくもり」や「安らぎ」という品質の重要性についても新築当時だけを考えるのではなく、むしろ先の未来、将来をしかりと想像してみなければ、先々後悔することになるかもしれません。
<子供の健全な育成を成す家>
子供の教育に住宅が果たす役割は決して無視できません。
思春期から青年期を迎える子供たちが、家族と断絶していく姿を想像すると、凝り固まった高度経済成長期から継承された日本の家づくりの間違いに、冷や汗が出てきます。
間取りは、その土地の風土や景観を配慮しつつ、家族同士の心地よい距離感や地域社会との適度なつながりを配慮しながら計画されるべき人生設計そのものです。
最近分かってきているのは、個室で机にかじりつくような環境の中で育つ子供と、母親と一緒に開かれたリビングダイニングなどで短時間に学ぶ方が、成績が良い子が多いという現実です。
母親に一生懸命の姿を評価してもらい褒められることを粋に感じるのではないかと言われています。
子供部屋を与えることが本当にいいことなのか。
子供部屋は子供が休む部屋と定義しておくことの方が正しいのかもしれません。
子供がどんな子供になってほしいのか。
そのためにはどんな環境を与える方が良いのか。
十分に立ち止まって考えてみないと単に子供部屋が人数分個室として必要だという、刷り込まれてしまった間取りの考え方に一石投じ、振り返り、再度原点を見つめ、目的や理由を考えてみる必要があるのではないでしょうか。
<本当の美しさと愛着のある家>
新建材の多くは、価格が安くて狂いは少ないが、先々に経年劣化と飽きがでてくる。
そして、廃棄する時に粗大ゴミの元となります。
本物素材は時が経つと古びの美しさがあり、パリの石田畳や、桂離宮のように擦り減り、古びることによって表情が豊かになるのです。
本当にコスト品質の高い住宅とは愛着が生まれ、手入れ(メンテ)を行うので結果、長持ちする家になります。
家は何十年も住む場所であるから、先のことまでを想像して考えなければなりません。
一過性の流行に押し流され素材選びを誤ると一生後悔することになるでしょう。
できるだけ時間の経過とともに美しさに磨きがかかる素材選びと愛着が持てる環境の住まいをつくることに是非とも向き合っていくことが重要ではないでしょうか。