2025年12月27日
住宅のデザインの深い意義
本年最後のブログをお伝えします。
最後はどんなお話をすべきかと考えました。
私が、こだわり続けてきた『普遍のデザイン』についてお伝えします。
住宅の「デザイン」と聞くと、多くの方は「見た目」「おしゃれ」「流行のスタイル」という印象を持たれるかもしれません。しかし、プロの現場にいる私たちから見ると、住宅デザインの本質はもっと深く、そして暮らしの質や人生の満足度に大きく関わる“生き方そのものの設計”だと感じています。今日は、少し蘊蓄も交えながら、その大切さをお伝えしたいと思います。
まず知っていただきたいのは、「良いデザインは、美しいだけでなく合理的である」ということです。古今東西の名建築に共通するのは、見た目の格好良さよりも、光・風・動線・人の時間の流れまで計算された“必然性”です。北欧の住宅文化で大切にされる「ヒュッゲ」も、単なるインテリアの話ではなく、「いかに心地よく家族が集えるか」を突き詰めた結果として、温かい光、木の手触り、居場所のつくり方が洗練されていったのです。つまりデザインとは「飾る」ことではなく、「幸せな時間をつくるための技術」だと言えます。
もう一つ、住宅のデザインは“資産価値”にも直結します。良い家は、時間が経っても「古びない魅力」を残します。これは偶然ではありません。流行だけに寄りかかった家は、10年後に色褪せてしまうことが多いですが、本質に基づいたデザインは「普遍性」を持ち、結果として選ばれ続けます。ヨーロッパの住宅が100年経っても価値を持ち続けるのは、構造や性能だけでなく「愛され続けるデザイン」であるからです。日本でもこれからは「建てて終わり」ではなく、「住み継がれる家」が当たり前の価値観になるでしょう。
そして、見落とされがちですが、デザインは「人の行動を導く力」を持っています。玄関の位置ひとつ、窓の高さひとつで、帰宅したときの気持ちや家族の会話量が変わることをご存じでしょうか。リビングに自然と家族が集まり、ダイニングテーブルに向かうと会話が生まれ、キッチンに立つ人が孤立しないレイアウト。これは偶然ではなく、すべて“デザインされた結果”です。「暮らしやすい家は、住む人を優しく導く」というのは、住宅業界のプロの中では常識とも言えます。
家をこれからと考えている皆さんにお伝えしたいのは、「デザインを価格やオマケの要素として見ないでください」ということです。デザインは最後に足すものではなく、最初に考えるべき“根幹”です。そして、打合せのときには「かっこいい家にしたい」だけでなく、「どんな時間を大切にしたいか」「家族にどんな未来を過ごしてほしいか」を、ぜひ設計者に話してください。良い建築家・良い住宅会社は、その言葉から空間を組み立て、形にしてくれます。
住宅は人生で最も長い時間を過ごす「舞台装置」であり、人生の幸福度を左右する“環境”です。だからこそ、デザインは贅沢ではなく、未来への投資。単なる箱ではなく「心地よい物語を紡ぐ家」を、ぜひ手に入れていただきたいと思います。
皆様にとって来るべき2026年が、思いの外意義深いものとなりますようにお祈りしています。
来年もお世話になりますが、よろしくお願いします。