HEAD BLOG代表 窪田のブログ

2025年10月3日

北欧家具の時代や国やデザイナーの違い!

本日は「北欧家具の魅力と、日本の家に馴染む家具選び」についてお話ししたいと思います。

「北欧家具」という言葉はよく耳にしますが、実際にはその時代や国、さらにはデザイナーによって大きく特徴が異なります。ひとまとめに語るのではなく、その背景を少し理解すると、暮らしの中で家具選びがもっと楽しくなり、長く愛着を持って使える家具に出会えるはずです。

まず「北欧家具」と言ったときに、大きく分けて二つの時代があります。
ひとつは18~19世紀のアンティーク家具。もうひとつは20世紀半ばのミッドセンチュリー期、いわゆる「北欧デザイン」として世界中に広まった家具です。

前者のアンティーク家具は、スウェーデンやノルウェーの農村で作られた素朴なペイント家具や、スウェーデンの「グスタヴィアン様式」が代表的です。白やグレーを基調とした明るい色使いに、花模様などの装飾が施され、長い冬を少しでも楽しく過ごすための工夫が感じられます。日本で言えば、古民家の箪笥やちゃぶ台のように、日常の暮らしを支えた生活家具と言えるでしょう。

一方で、多くの方がイメージする「北欧家具」は、1950年代から70年代にかけて生まれたデンマークやフィンランドのデザイナーズ家具です。たとえば椅子の巨匠ハンス・J・ウェグナーの「Yチェア」や、アルネ・ヤコブセンの「セブンチェア」。フィンランドのアルヴァ・アアルトによる曲げ木のスツールも有名です。これらはシンプルで機能的、かつ温もりを感じる木の質感を大切にしており、今も世界中で愛され続けています。

では、なぜこれほどまでに北欧家具が魅力的なのか。
その答えは、北欧の暮らしそのものにあります。冬が長く、家の中で過ごす時間が多いため、家具やインテリアは単なる道具ではなく「心を豊かにする存在」として考えられてきました。座り心地や使い勝手はもちろん、眺めても美しいデザインであること。木の温もりが感じられ、時を経ても飽きがこないこと。これらはまさに、家族と共に長く暮らすための知恵であり文化なのです。

そしてこの考え方は、日本の家づくりとも相性が非常に良いのです。
日本もまた、四季の移ろいを感じながら暮らしを大切にしてきた文化があります。畳の上で座る習慣は少なくなりましたが、木の温かみや自然素材に癒やされる心は今も変わりません。だからこそ、北欧の家具を選ぶときも、日本の家のスケールや素材感に馴染むものを選ぶとよいでしょう。

例えば、北欧の椅子やテーブルはヨーロッパの体格に合わせて少し大きめに作られていることがあります。日本の住宅、特に私たちがご提案している平屋やコンパクトな住まい「LOVEL」などに取り入れる場合は、大ぶりな家具を詰め込みすぎると圧迫感が出てしまうかもしれません。そんなときは、軽やかなデザインの椅子や、脚が細く床の見える部分が広いテーブルを選ぶと空間に馴染みやすいです。

また、色合いもポイントです。北欧家具はチーク材やローズウッドなど濃い木目のものも多いですが、日本の家の白壁や杉・ヒノキの床に合わせるなら、バーチやオークなど明るめの木材を選ぶと自然に調和します。もし濃い色合いの家具を取り入れるなら、照明を工夫してコントラストを楽しむのも素敵です。

結局のところ、家具選びに正解はありません。ですが「時代や国、デザイナーの背景を少し知ったうえで、自分の家の空間にどう馴染ませるか」を考えると、家具はただのインテリアではなく「暮らしのパートナー」となってくれます。北欧家具の歴史を辿れば、そこには長く大切に使うという思想があり、それは私たち窪田建設が掲げる「住み継がれる家づくり」とも深く通じるところがあります。

ぜひ皆さんも、ご自分の家の空気感に合った家具を探し、毎日の暮らしに温もりを添えていただければと思います。

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