2025年8月18日
平屋という選択肢の魅力と現状
これから家を建てる皆様へ
家づくりを検討される際、どのような住まいをイメージされますか?多くの方が「2階建て」を思い浮かべるかもしれませんが、近年「平屋」という選択肢が幅広い世代から注目を集めています。ここでは、平屋がなぜ選ばれているのか、その魅力と、住まい選びの参考となるデータをご紹介します。
平屋が選ばれる理由:世代を超えて響くメリット
平屋と聞くと、ご高齢のご夫婦の住まいというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際には若い子育て世代のご夫婦にも選ばれるケースが増えています。それは、平屋ならではの、世代を超えて共通する魅力があるからです。
若い世代・子育て世代にとっての平屋
- 家事動線の効率化と家族の繋がり: 階段がないため、家事の移動が格段にスムーズになります。洗濯物を運んだり、掃除機をかけたりといった日常の動作が楽になるだけでなく、ワンフロアで家族の気配を常に感じられるため、自然とコミュニケーションが生まれやすい環境です。小さなお子様がいるご家庭では、見守りの安心感にも繋がります。
- 将来を見据えた安心設計: 今は必要なくても、将来を見据えたバリアフリー設計は、長期的に安心して暮らす上で大きなメリットとなります。段差が少ない平屋は、転倒のリスクを軽減し、誰もが暮らしやすい住まいを実現します。
- 開放感とデザインの可能性: 平屋は低層な分、勾配天井や吹き抜けを設けることで、縦方向への広がりを演出し、開放感あふれる空間を作ることができます。また、建物が地面に近いことで、庭や外部空間との繋がりをより密接にデザインできるのも特徴です。
ご高齢のご夫婦にとっての平屋
- 安全で快適な暮らし: 階段の上り下りがなくなることで、転倒のリスクが大幅に減少します。これは、足腰に不安を感じる方にとって、日々の生活の安心感に直結します。
- 身体的負担の軽減: 生活に必要な空間がすべてワンフロアに集約されているため、移動による身体への負担が少なく、無理なく快適な生活を送ることができます。
2階建て住宅ではなく平屋を選ぶ人が増えているのはなぜか?
平屋が注目される背景には、2階建て住宅と比較した際の様々なメリットが挙げられます。
- 耐震性の高さ: 一般的に、建物の重心が低い平屋は、地震の揺れに対して安定しており、高い耐震性が期待できます。地震が多い日本では、この点は住まい選びの重要な要素となり得ます。
- メンテナンスのしやすさ: 2階部分がないため、外壁や屋根の点検、窓拭きといったメンテナンス作業が容易に行えます。これにより、長期的な維持管理の手間や費用を軽減できる可能性があります。
- 自然との一体感: 平屋は、家の中から庭や外部空間へのアクセスがしやすく、より自然を身近に感じられる暮らしが実現できます。リビングから直接ウッドデッキに出て、庭で過ごす時間を楽しむなど、暮らしの幅が広がります。
無垢の木の家が選ばれる理由と、それを好む人々
近年、新しいデザインテイストの住まいも人気ですが、素朴で温かみのある「無垢の木」をふんだんに使った平屋を選ぶ方が増えている傾向にあります。
無垢の木の家が好まれる理由
- 心と身体に優しい自然素材: 無垢材は、木本来の質感や香りがそのまま生きており、視覚、嗅覚、触覚を通して私たちに心地よさと安らぎを与えてくれます。化学物質の使用が少ないため、アレルギーを持つ方や小さなお子様がいるご家庭でも安心して過ごせる空間です。
- 優れた調湿作用: 木材は、室内の湿度が高い時には湿気を吸収し、乾燥している時には湿気を放出する「調湿作用」を持っています。これにより、一年を通して快適な室内環境を保ちやすくなります。
- 味わい深い経年変化: 無垢材は、時が経つにつれて色合いや風合いが深まり、独特の表情を見せてくれます。住まいが「育っていく」過程を楽しめるのは、無垢材ならではの魅力です。
- 耐久性とメンテナンス性: 適切な手入れをすれば、無垢材は非常に長持ちします。表面の傷も研磨して修復できるなど、長く愛用できる素材です。
無垢の木の家を好むタイプの方
このような無垢の木の家を好んで選ばれる方は、以下のような志向をお持ちの方が多いようです。
- 自然回帰志向: 日常の中に自然の温もりを取り入れたい、自然素材に囲まれた暮らしを望む方。
- 健康への配慮: 家族の健康を第一に考え、住まいの空気環境や使用される素材の安全性にこだわる方。
- 本物志向・丁寧な暮らし: 流行に流されず、素材そのものの品質や、手入れをしながら長く大切に使えるものを求める方。日々の暮らしを丁寧に紡いでいきたいと考える方。
- 地球環境への意識: サステナブルなライフスタイルに関心があり、環境負荷の少ない素材選びを心がける方。
平屋のシェアと伸び率(過去10年間)
国土交通省の「建築着工統計調査」に基づくと、住宅全体に占める平屋の着工件数シェアは、過去10年間で増加傾向にあります。 国土交通省の「建築着工統計調査」によると、過去10年間で新設戸建住宅に占める平屋の割合は、約2倍に増加しています。
具体的なデータとして、
- 2012年: 新設戸建住宅全体のうち、平屋は約6.8%でした。
- 2022年: 新設戸建住宅全体のうち、平屋は約13.5%にまで増加しています。
- 2024年: 最新のデータでは、平屋の着工棟数は61,338棟と、2014年の32,827棟から約2倍に増えています。
このように、平屋は近年人気が右肩上がりに伸びており、家づくりの選択肢として非常に存在感を増していることがわかります。
まとめ
平屋は、世代を問わず多様なライフスタイルに対応できる魅力的な住まいです。家事のしやすさ、家族の繋がり、将来の安心感、そして自然素材の心地よさなど、そのメリットは多岐にわたります。
もし、これから家づくりを検討されるのであれば、ぜひ「平屋」という選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか。ご自身のライフスタイルや将来の展望に合った理想の住まいを見つけるための一助となれば幸いです。