2024年9月26日
リフォーム工事に赤信号点滅!
2025年4月から施行される建築基準法の改正は、特に「4号特例」の縮小により、住宅業界に大きな影響を与えると予測されています。この改正により、新築の木造2階建住宅を建てる際には、これまで必要とされていなかった「構造計算」の数値での立証が必須となります。さらに、リフォーム工事においても、特定の例外を除いて建築確認申請が義務付けられることとなり、住宅を改修する際の手続きやコストが大幅に増加する可能性が出てきました。
これまで、多くの中古住宅におけるリフォームでは、増築がない限り建築確認申請を行わなくても良いというケースが一般的でした。しかし、改正後は、リフォーム内容に関わらず構造計算の提出と建築確認申請が必要になるため、これまで比較的簡単に行えていたリフォームが複雑化し、特に耐震基準を満たしていない古い住宅では、リフォームの実施が困難になると考えられています。
こうした新しい規制の背景には、地震や自然災害に対する安全対策の強化があります。日本は地震大国であり、建物の耐震性が人命に直結するため、構造の安全性を確保することが急務となっています。過去には、災害時に倒壊した住宅が多くの犠牲者を出したことが問題視されてきました。そのため、国は住宅の安全基準を厳格化し、特に木造住宅に対しては、構造の耐震性を数値で立証する仕組みを導入しました。この改正により、新築やリフォームに対して「お化粧」だけのような表面的な改善ではなく、根本的な構造安全性が求められるようになります。
特に、リフォーム工事においては、費用が増大するという懸念があります。例えば、これまで建築確認申請が不要だった工事にも申請が義務付けられることで、設計士や構造計算の専門家の費用が追加される可能性があります。その結果、リフォームがコスト的に実施困難となる物件も増加し、最終的には空き家の増加や解体に追い込まれる物件が多く出てくることが予想されます。
空き家問題は既に日本の住宅市場における深刻な課題です。人口減少や高齢化が進む中で、空き家は年々増加しており、その多くは古い耐震基準の建物です。こうした住宅に対して、今回の法改正は、耐震補強などを義務化する方向に進んでおり、それに伴うコスト増は避けられません。しかし、構造安全性を高めることで、災害時のリスクを減らし、より安心して暮らせる住環境を提供することが最終的な目標です。
私たちも、この改正に先駆けて住宅の構造安全性に注目し、法規制がかかる前から構造計算を実施し、確認する取り組みを行ってきました。私たちが提供する住宅は、ただ見た目を美しく整えるだけでなく、居住者が安心して暮らせるよう、耐震性を含めた構造の安全性を確保しています。確かに、今後は住宅の建設やリフォームにおける費用負担が増加することが避けられませんが、命を守るための投資と考えれば、その価値は大きいと考えています。
将来的に、中古住宅の購入や賃貸を考える人々が、より安全な住まいを選択できるよう、私たちはこれからも高い構造基準を維持しつつ、品質の高い住宅を提供していきたいと考えています。安心して暮らせる住環境を提供することは、住宅業界全体の責務であり、私たちもその一端を担い、持続可能で安全な建築社会の実現に貢献していきます。