2023年5月9日
「小さい家」が、何を意味しているのか?
『小さい家を選択する意義』
「住む」の選択肢がもっと何種類かあってもいいのでは?
つまり、家は「自己主張」「家族の巣箱」「生活の舞台」「暮らしの理想」「幸せの象徴」。
とても大切な事ではありますが、その大切で重要なものを手に入れるには、それを購入しなければならないという前提があります。
住環境は確かに重要だと思います。
何より大切なことだと私も心底思っています。
しかし、負担感は人生最大の買い物という言い方が示す通り、大きな買い物です。
大金を投資します。
一生、返済していかなければならないことを覚悟することでもあります。
アパートだって家賃を払わなければなりませんので支払うという点では大差ないかもしれません。
それほど、個人や家族にとって「住まい」は大切で、重要で、無くてはならない買い物です。
でも、その選択肢しかないのでしょうか?
私も家をおつくりする仕事をしています。
軽々しく家をつくるために借り入れして返済していかなければならないお手伝いをしています。
しかし、家は何のために必要なのか?
そこまでして手に入れるべきものであると思っています。
日本の家に関する外的要因によって家に関する価値観は、変わってきています。
今この瞬間から考える前に、日本の「住まい」の変化を少しだけ触れてみましょう。
①江戸後期〜昭和初期
日本は、養蚕が盛んでした。
畑で鍬を育て、家の中に「お蚕様」を育てるオタクが多かったと思います。
特に長野県は多くのお宅でそうだったのではないでしょうか?
世界経済の中心的な存在であったとまで言われる「養蚕業」の日本。
く材を成した人もいました。
家は大きく、家のほとんどを「お蚕様」を育てるために使っていて、家族は家の隅の中で狭い環境の中で大家族が住んでいました。
家は、住むこと以上に稼ぐための工場だったのです。
結果、大きな住まいが田舎に行けば行くほど今でも沢山目にします。
②戦後の住まい
戦後は、家を失った多くの人たちのために、とにかく住まいを用意することが最優先であった。
つまり、質より大きさより「数」の時代でした。
この頃の住まいは、過去の民家の価値観ではなく住めればいいという感覚が最優先でした。
つまり、見栄えも大きさよりも安価で最小の家があればいいという感覚だったと思います。
③バブル時代の住まい
日本も高度経済成長期を迎え全てにおいて豊になっていきました。
心身ともに経済的に余裕が出てきたのです。
そして、バブル時代を迎えました。
とにかく派手に自分を主張したいという時代だったように思います。
結果、誰よりも大きな家を豪華に作りたい。
そんな思いから「億ション」などという高価なマンションが建ち、購入者も見栄を張りたいという現れの家は「大きく」「豪華」であることが価値という意識が蔓延していたと思います。
④阪神淡路大震災後の住まい(姉派耐震偽装の家)
構造的に従来の基準ではなく、地震に耐えられる丈夫な家が命を守る家として重要視されてきました。
また、住宅の構造を数値化することも重要視された価値観が定着してきました。
⑤東日本大震災後の住まい
3.11.に象徴されるように寒い時期の震災は「命」を守るために、寒さ対策が重要視されるようになりました。強く家の中で寒さに耐えられる家を求めるようになり新たな基準が求められてきました。
④地球温暖化+コロナ禍社会+ロシアのウクライナ侵攻の住まい
・地球温暖化が益々深刻化し、EV車へ、高性能住宅が急速に
・輸入物資が入りにくくなりさまざまな物価が上昇。
※国産化への移行が叫ばれるようになる。
・コロナ禍社会、ウイズコロナ禍社会となり家で楽しむ、家で仕事や勉強をする社会
・戦争によりエネルギー源の輸入が厳しくなり不安定な上に異常なALL高騰社会到来。
結果として、更に高性能な住まいが求められるようになり建築基準も新たに更に上の基準が示された。
何が言いたいのか?と言いますと、「良い家の基準」や求めるべき家の基準が大幅に変化してきたということです。
実は、ここに示した表面的な時代や環境の変化から示される作るべき家が、これだけでは無くなります。
小さなエネルギーで生活維持費を抑える家づくりが必須になるということですね。
家を高性能かしていく必要があるということもお分かりかと思います。
それだけを追い求めたら、購入できる価格の住まいになるのでしょうか?
では、どのように考えたらいいのか?
答えは簡単です。
『小さい家』を選択すべきであるということです。
高性能にすることは重要です。
しかし、家がデカかったらどうでしょうか?
購入費は高くなる。
家を小さくするという発想に切り替えたらどうでしょうか?
購入費が抑えられる。
家が小さいと生活光熱費は少なくなる。
エアコン一台で暮らせるかもしれないという可能性を感じてきます。
スイッチ「ON」してから直ぐに温まったり涼しくなったりする。
太陽光発電を乗せたら電気代0円住宅も作れる。
EV車を蓄電池として使えば、電気を貯めることができて使用する電力を賄える可能性がある。
いわゆる、「オフグリッド生活」を手に入れられるかもしれない。
もちろん、お掃除も楽。
家族の交流もとりやすくなる。
収納方法も上手になる。
余計なものは購入しないので出費が減る。
小さくて効率がいい家を求めれば幸せに近づける。
こんな考え方や価値観が変わることにつながる。
何を持って豊なのか?
何を持って幸せなのか?
過去の住まいの歴史を紐解いていくと、間違いなく新たな局面を迎え、転換期を迎えていることがわかるように感じています。
実は、アメリカではリーマンショック以降にタイニーハウスに住むという幸せを示す暮らし方に注目が集まっているようです。
また、大富豪があえてタイニーハウスに住んでいる方もいるようです。
理由は、分かりませんが大きな変化をわかっているかのように新たな価値観を表しているように思います。
そして、住まいに関する考え方にメスを入れる時も迎えているのではないかとさえ感じます。
次回は、そんな新たな住まいの価値観を書いてみたいと思います。
誰かに教えられてとか、どこかのサイトに書いてあったというものではなく、私の勝手な独断と偏見で書きますので、共感する人もいれば、反対の考え方の方もいらっしゃるでしょう。
それは、正解がない世界ではあるので自由に考え発想してみることで、大切な人生を光輝くものにしていくことができるかもしれません。
時代の潮目という言葉が、今なのかもしれません。
共に考え自分の歩むべき道を、周りの意見や声に惑わされることなく自問自答してみる機会としていただけると幸いです。
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