2018年7月19日
(13)国産材?外国産材?
国産材と外国産材のバックグラウンド
「木の家」は、日本の気候風土に合った建て方だと思っています。
その理由は、歴史が証明しています。
最近では量産ハウスメーカーも鉄骨構造から木構造にシフトしてきています。
こんな点を考察してみても日本の気候風土には「木で家を建てる」ことが相応しいと検証結果としての答えが出てきています。
日本は、木の文化の国と言っても過言ではありません。
その理由は、国土面積の67%が森林であり他国から比べると恵まれすぎている環境だったからです。
他国の森林率は、中国21%、韓国63.2%、インド22.8%、アメリカ33.1%、フランス28.3%、ロシア47.9%、オーストラリア21.3%、フィンランド73.9%、スウェーデン66.9%です。
それだけ自然に恵まれた他国からも美しい国ジパングと評されるほどなのです。
しかし、残念ながら高度経済発展を遂げてきた観点から山から木を切り出すコストが輸入するよりも高くなってしまいました。
また、植林してから親子三代に渡らなければ建築資材として使える大きさになりません。
経済効果の観点から言えば置いて行かれた産業になってしまったのです。
木は、二酸化炭素を吸い込み酸素を吐き出す希少な存在です。
しかし、伐採木を過ぎるとその能力が衰え腐食し倒壊していきます。
また、干ばつや枝おろしをしていかないと光が遮られ建築資材としての育成に支障をきたし十分に成長しない木が発生してしまいます。
つまり、親子三代の手により健全な建築資材としての木の成長ができないのです。
それも国の補助金があってなんとか進めることができた訳ですが、各地で補助金事業の額が軽減されたり、補助金自体が打ち切りになったりして、山は放置されつつある状況です。
植樹事業にしても鹿にほとんど食い荒らされ木を育てることも難しい状況下です。
そんな背景を鑑み、外材の輸入が増えてきたという実情があるのです。
皮肉なことに日本の木を目の前にして外材を輸入せざるを得ない需要と供給バランスやコストバランスの問題で日本の住宅業界の構造材が国産材と外国材とが混在した自体になっているのです。
しかし、北欧などは人口が少ないことから森林産業に早くからコンピュータ搭載の優れた重機を開発発展させてきた国の特性があります。
一台の重機が山を登り、木を切り、木の切断も行い、皮も剥きます。
その木を山から下ろすベルトコンベアやロープウエーのような装置により製剤女に運ばれます。
製剤工場では、木を無駄なく全て使い切ることが前提なので、木を捨てることのない有益な資材として考えられていますので集成材として構造材の柱や梁を作ります。
また、創作材としての集成材の板を作ります。
これが、木の先進国であります北欧の木材業界の実態です。
日本は先進国だと思っていますが、人手を解消する文化を持つ北欧は、実に合理的な思考と森林環境と自然環境を考えた最先端の哲学や手法が育ってきていると思えます。
同じくらい国土の森林面積を持つ北欧と日本の違いを考えますと、なぜ日本の木は高いのか?目の前にある木を使えるのに使えないのか?
その理由がおわかりかと思います。
「国産材」VS「外国産材」を単純に比較して「国産材で家をつくるのが日本人として当たり前」と豪語する方もいると思いますが、木の背景を考えないと表面的な軽薄な話に聞こえてきます。
精神論で言うのなら理解できますが、なぜそうなっていないのか?それを知ってほしいと思います。
そして、集成材は自然環境と有益な資源を無駄なく生かし使い切ろうという哲学です。
また、地球の自然環境を守ろうという人間の知恵を生かそうという意志です。
世界から見れば木がほとんどない国の方が多いことを前提に考えないと森林のことを考えないと自分本位なわがままを主張することになります。
逆に言うと北欧のようにコンピュータ化、機械化、合理化、をして、その木材を船に乗せて日本まで運んでくるのに対し、日本の山にある木を伐採して製材して建築現場に運ばれてくる資材価格が同じならいいが、高いというのは理解不能であると思いませんでしょうか。
北欧の人件費は、安くないと思います。それなのにです。不思議ですよね。
私は、以前から北欧の人たちの感性とデザイン性や合理性、自然思考、モノづくり思考など、本当に先進的だと思ってきました。
同じ木の国でありながら文化や経済思考や自然思考がこれほど異なってしまったのかと北欧を尊敬してしまいます。
無垢の木を構造材に使うためには、様々な障害を乗り越えていかないと、いくら日本の無垢材で家作りをしたいと思っても、まだまだ難しい部分があります。
しかし、産直という流通になれば可能な無垢木材で家を建てることも可能です。
国産材と外国産材の議論はつきませんが、何を目的にして物事を考えるのか?
それは、人それぞれの価値観です。正解不正解はありません。
しかし、日本人である以上精神論になってしまいますが、日本の無垢材を構造材として使用していきたいと思うのは、私自身が日本人としての誇りを大切にしたいと考えるからです。
肌目が好き嫌いいろいろあろうかと思います。
それは、感性が定める道筋であるわけですから良し悪しはないと思います。
そんな事まで知る必要もないと思われる方の方が多いかもしれません。
松食い虫でアカマツの木がどうなろうが興味がなければいいでしょう。
日本の木がどうなるのかについても、木の業界がどうなるのかもあまり興味がなくても構いません。
ただ、家を支える構造材のルーツや事情や現状を知っていても邪魔にはなりませんので、どうか少しだけでも「木」について知っていただくと家づくりに違う興味が湧くのだと思います。
「うちの家は耐震最高等級ですから・・・・」
「うちの家の構造材は国産材なので安心ですから・・・・」
「うちの家の構造材は自然の木を大切に無駄なく使った集成材ですから・・・」
全て不正解はありません。
木の背景を少しだけ知っていただくだけで自分の家への関心が高まり、愛情を今以上に注ぐ事ができたら、家づくりを生業としている者にとっては嬉しいのです。
窪田建設は、国産材や産地直送の国産材で家を建てるコンセプト住宅もあります。集成材で家を建てるコンセプト住宅もあります。なぜなら、どちらが絶対に正解という事ではなく、目的に沿って使い分ける必要があると考えていますので、どちらも正解だと思っているのです。
木には、その背景という視点も重要ですが、美しいという感性の視点も重要です。
しかし、人を災害から守れる視点も重要なんのです。
人の命以上に尊い者はないわけですので、何を目的に優先順位をつけて家づくりをするのか?
そうなった時に構造材を数値化し計算して強い家かどうかを見極める事も重要になります。
すいません。
迷わせているようなお話になっているのかもしれません。
でも、家を作る場合の構造材に関する背景をしておく事で考え方が違ってくると思うのです。
是非とも一度、立ち止まって考えてみていただく事も良いのではないでしょうか?
※ 窪田建設がおつくりしたお客様の家の写真と知り合いのノルウェーに住む方が撮影した写真を掲載しました。